グループで何かをするとき、頑張っている人もいれば、手を抜いてばかりの人もいて、全体の作業がなかなか進まないことってありませんか?
誰かに仕事量や責任が集中して、キャパオーバーを起こしてしまうことも…
タイムリーな話題だと、鹿大祭の準備にも同じことがいえるかもしれませんね。
きっとお困りの方もいることでしょう。
今回は心理学の面から「社会的手抜き」が起こる理由とその対処法についてまとめました!
社会的手抜きって?
冒頭のような現象を「社会的手抜き」といいます。(リンゲルマン効果とも)
個人作業・評価ではなく、グループ作業で全体評価がされる場合、人数が増えるごとに1人あたりの作業量が減少するのです。
綱引き実験(lingham et al, 1974)では、1人のときよりも、他者と一緒の方が力を抜いてしまうとわかっています。
なぜ起こるの?
要因は大きく3つあるとされます!
1. 評価懸念が弱い
評価懸念とは、「自分の行動が他者に評価されるのではないか」という不安です。
グループでは個人のがんばりが評価されにくいため、社会的手抜きが起きやすくなります。
「自分くらいさぼってもわからないだろうな~」という環境は、評価懸念が弱いといえます。
2. 実力の差が大きい
グループ内の実力が離れすぎていると、逆にやる気を阻害します。
自分より優れた人がいると、なんとなく「その人にやらせればいいや」と任せてしまいませんか?
逆に、取りかえしがつかないほどできない人がいても、自分の努力が無駄になる気がして、やる気をなくしてしまうこともありますよね。
3. 社会的手抜きが「同調」する
サボっている人を見てやる気をなくし、行動がどんどん感染してしまいます。
基本的に人は「楽をしたい」と思うので、「みんながそうだから」「あいつがそうだから」などと何らかの理由をつけてサボってしまうのかもしれません。
自分は努力をせずに、全体の利益だけを得ようとする人を、「集団の利益にタダ乗りする」という意味合いから、「フリーライダー」といいます。
このとき、フリーライダーや手抜きする人物に対して「手抜きに対する罰」を考えることもあるでしょう。
しかし、残念ながらこれは短い効果しか期待できません。
また、これはあくまで個人的な意見ですが「できない人物を排除する」という方法も、空気をよくない方向に変えてしまうだけだと思います。
基本的には、広く人員を確保した方が無難ですよね。
Barsadeの実験によると、グループではポジティブな感情が1番感染しやすいそうです。(「さざ波効果」)
まずは、これを見たあなたが明るくいきましょう。
「社会的手抜き」を防ぐためには?
個人の頑張りが可視化される環境を作ってみてはどうでしょうか?
では具体的に、鹿大祭で社会的手抜きをなくすための解決策を考えましょう!
1.集団の目標を明示する
→ゴールをはっきりさせると、行動しやすい。
鹿大祭の場合
ex.看板やパーカーを作るとき
リーダーが最初に「最終的にはこうしたい」というものをメンバーに示す。
→昨年の写真やメモなどを参考にさせてみては?
→前年やった人をアドバイザーにつけてみては?
※「丸投げ」するよりも、ゴールが分かったほうが取り組みやすいですよね。
(指示された側も、分からないからといって何も聞かない&考えないのはよくないですが…)
2.レベルや役割分けした少人数グループを作る。
3.1人当たりの作業量を決める
4.作業後に進み具合を報告させる
→作業を全体に報告させる。努力が見えやすくなることで、作業へのやる気が高まる。
鹿大祭の例では…
・定期的に進行状況を集団で共有する。
→部室や、LINEのノートに貼り出して、見たら印をつけてもらう。
・反省会や報告会を行い、1人1人が発言する。
5.個人評価の機会を増やす
→評価はグループよりも1人1人に目を向けるのが重要。
鹿大祭の例では…
・個人評価の機会を与える(表などを作る)
・1人ずつ「よい活動をした人物」を全員に発表し、褒め合う機会をもつ。
※間違っても、誰かをひいきしたり、逆に過小評価するような形にはならないようにしましょうね。
・お互いを褒め合う、感謝しあう
(ex,サンキューカードなどで作業員同士のコミュニケーションを円滑にする。)
集団のメリット:社会的促進
よくある話ですが、短距離走は1人よりも誰かと一緒に走ったほうが、タイムが早くなることがありますよね?
グループ作業は、周りが刺激となって1人のときよりも頑張れます。
単純で簡単な作業ほど、社会的促進がプラスに働くことが多いとされます。
さいごに
~「社会的手抜き」に悩んだあなたへ~
「ワンマンリーダー」と「脇役の放任」
筆者が、「社会的手抜き」でよくあると思うのは
周りが「頼りがいのある誰か」に任せっきりしてしまうパターンです。
任せっきりにされた人は孤独を感じてしまうことがあります。
原因は、個人がよく働き目立ちすぎることで、周りの「評価懸念」「努力の必要性」が弱まり、誰かの手抜きが始まります。そして、その手抜きが「同調」し、孤立するのです。
さらに、本人にそのつもりがなくても「周りの成長の機会を独り占めしている」と思いがけない妬みを向けられることもあります。
周りのためを思った行動で孤立してしまうのは悲しいですよね。
大事なことは、中心人物もそうでないメンバーも「社会的手抜きは」よく起こるものだと、事前にわかっておくことです。
もしもさきほどドキッとした方がいたなら、決して「自分が悪い」と責任を感じるのではなく、「よく起こるからそうなってしまったんだ」と捉えましょう。誰かにすべての責任を押し付けるのはナンセンスです。
まず、「抱え込んでしまった」方は、周りよりも少し優秀で、周りのためを思う気持ちが強かったからこそだと思います。「人に苦労をさせたくない」という優しさもあったのかもしれませんね。
どこにでも起こることなので、「自分が悪い」だなんて責めなくていいんです。
「頼る、休む、そういう選択肢があったんだな、これからはそうしよう」と思い直すだけで十分です。
次に、「放任してしまった」方も、これが「よく起こる現象」だと分かれば、これからは誰かに責任が集中しないよう気遣えるのではないでしょうか。
抱え込んでいる人は「大丈夫?何かやろうか?」と言われるだけでも気持ちは救われるんです。
今回、集団は中心人物だけではなく「1人1人が空気を作っている」ということがよく分かったと思います。
1人でも多くの人がそれに気づき、お互いに協力しあえるといいですね。
それでは、準備も合わせて鹿大祭を楽しみましょう!
※今回の記事は、法文学部の「説得・交渉」に関する心理学の講義を参考にさせてもらいました。
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最終アクセス日:2017年10月19日
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