フィリピンでNGOの海外インターンを行った法文学部4年の茶園さん。留学中に様々な形の貧困を目の当たりにしてモチベーションが大きく高まったそうです。
協力:海外研究会
※こちらの記事は、2016年11月に書かれたものです。予めご了承ください。
1)フィリピンに海外インターンとしていこうと思ったきっかけはなんですか?
私は以前から国際公務員になって国連で働きたいという目標がありました。
大学院へ進むことは決めていたため、自由に動ける学部生のうちに途上国での生身での経験を積んでおこうと考え、4年次を1年休学して国際協力NGOの海外インターンとして10か月間フィリピンに滞在することを決めました!
行き先にこだわりはなく、インターンすることになったNGOがたまたまフィリピンで活動していたという感じです。それまでフィリピンに全く縁はなかったのですが、留学を通じてこの国に魅せられてしまい、今後も頻繁に訪れることになりそうです。
2)フィリピンでの海外インターンってどのように探したんでしょうか?
ネット上で、自分で一から探しました。
その中でもアクセスというNGOの活動内容や理念に大きく共感し、コンタクトを取った後正式に応募しました。書類審査のあと京都にある事務局へ面接を受けに行き、採用が決まったのは渡航予定のちょうど1年前のことでした。
インターンとして現地での主体的・積極的な行動が期待されていたこと、日本人がほとんどいない環境であることなども、応募のきっかけとなりました。
その後渡航に向けて準備を進める中で官民協働の留学奨学金制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の存在を知り、審査を潜り抜けて2期生として採用されました。金銭面での不安がなくなったことはとても大きかったです。
3)初の海外インターン、しかも発展途上の地域に行くことで不安などはありましたか?
日本とは違う途上国の暮らしに耐えられるか、という不安はありました。
実際、トイレに便座がなかったり、シャワーがなくポンプでバケツに水をためて文字通りの水浴びをしたり、停電が頻繁に起こって照明もネットも扇風機もない夜があったり、虫が大量に出たり…
自分の想像以上の光景が広がっていました。不便を感じていましたが、おもしろいことに毎日暮らしているとなんだかんだ慣れるものです。笑
4)フィリピンで実際におこなった活動について教えてください!
首都マニラに1か月間滞在してインターン先の各事業地を訪れ現状の理解を深めた後、事業地の一つでマニラから8時間の道のりの先にあるド田舎の離島で9か月間を過ごしました。
ココナツプランテーションが色濃く残る、貧困層も多く暮らしている農漁村です。私は現地インターンとして、
・事業運営の補助(住民インタビュー調査、フェアトレード商品の品質管理など)
・報告書の作成、翻訳
・facebookページやブログを通じた広報
・日本からのスタディツアーの案内、通訳
などの業務を行っていました。
特に大きな業務となったインタビュー調査ではある村の全81軒を一軒一軒訪問し、子どもの就学状況や家計などについて尋ね、コミュニティの現状の理解に役立てることができました。
5)海外インターンを通して成長した点はありますか?
貧困を前に何もできない自分に無力感や悔しさを感じ、それが今の原動力になっています。
様々な形の貧困を目の当たりにしました。
無数のハエの中でゴミを漁りおもちゃを探す子ども、地主との不平等な関係にひれ伏す小作人、娘を学校に通わせてあげたいと願う母親、手を伸ばしながら付いてくるストリートチルドレン…
遠い世界の出来事だった「貧困」の当事者を何人も何人も目にしました。その度に大きな衝撃を受けると同時に、何も知らない、何もできない、あまりにちっぽけな自分に無力感や悔しさを覚えました。
この悔しさを糧に、もっと勉強し、能力を高め、あの時の自分に誇れるぐらい価値のある人材になりたい、できる限りたくさんの人の力になりたい、という決意を新たにさせてくれた10か月間でした。
また、分かりやすい成果として、英語の力も伸ばすことができました。現地スタッフとは英語で会話していたほか、業務外での自学自習も行っていて、帰国後に受検したIELTSで大学院留学レベルの7.0を獲得し、TOEICでは留学前の890点から970点までスコアを伸ばすことができました。
スコアももちろんですが、「英語が話せます」と自信を持って言えるようになったことが大きいかなと思います。帰国後も留学生のチューターを務めるなど日常的に英語に触れるようにしています。
6)今後の目標など教えてください!
来年の3月で鹿児島大学を卒業し、4月に名古屋大学大学院国際開発研究科へ進学します。開発学で修士号を取得した後、数年の職務経験を経てJPO派遣制度に応募し、国連機関への正規職員としての就職を目指します。
国連では、政府・自治体、NGO、民間企業、一般市民など様々な種類の活動主体を巻き込んで途上国開発を進めていけるような仕事がしたいなと考えています。
目指す人材像は、「留学を通じてより強くなった『意志』と、開発プロフェッショナルとしての『能力』とを兼ね備えた、世界全体に貢献できる『地球市民』」です。私はまだ何も成し遂げていません。これからも最善を尽くし続けたいと思います!
茶園くんありがとうございました!
※海外研究会とは
鹿児島大学公認サークルで、現在112人の学生が参加しています。鹿児島の学生の海外渡航を応援し、海外へ自らが挑戦することに対しての敷居を下げるために日々活動しています。本インタビューは、海外経験報告会2016(主催:海外研究会 日時:2016年10月15日)の発表模様も交えて掲載しています。
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