法文学部の本村です。
現在、鹿児島大学に法文学部はあるけれど、“法学部”はありません。(法文学部の中に法経社会学科法学コースがありますが…)。加えて、平成29年3月に大学院司法政策研究科が閉校廃止となりました。司法試験に関して詳しくはない私でも、難関資格ということは知っていたので、
鹿大から司法試験に合格するのは、難しくなったのかな…。
と私は短絡的に考えていました…。
しかしあるTwitterから令和元年度の司法試験に合格された鹿大のご卒業の方がいらっしゃることを知り、インタビューをさせて頂くことに…。
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このインタビューを通して、鹿大からも司法試験合格することができることを知ったと同時に本格的に法律の勉強をしたい方に向けた学修支援を行っている“司法政策教育研究センター”があり、 “法務学修生制度” という制度があるらしい…
むむむ。なにそれ!!
ということで今回は司法試験の受験生に対して幅広い支援をされている司法政策教育研究センター長である鹿児島大学の米田憲市先生に、お話しを伺ってきました。
※2020年2月インタビュー
【法曹になるためのプロセスとは?】
1つ目は鹿児島で勉強して法曹になりたい・法律の勉強をしたい人は法務学修生制度を利用する、という進路ですね。法務学修生制度とは、鹿児島大学の司法政策教育研究センターが主体となって司法試験と予備試験を目指す幅広い方々の学修支援を行うという制度です。法務学修生になれば、教員や弁護士から受験指導を受ける機会を得られますし、法律系総合情報データベースや、自習室の利用も認められます。
元々、この制度は法科大学院の制度の一つとして存在していたので、鹿児島大学法科大学院の修了生を対象としていたのですが、現在は申し込みの条件を満たせば出身大学を問わず利用することができます。
この制度は、塾や予備校と違って、自分で勉強する人を支援する制度です。つまり、これから初めて法曹を目指すから教えて下さいという方ではなく、自分の努力に加えて、お互いに刺激を受けながら困難な目標に向けてがんばりたいという人たちを応援することを想定した制度です。この基準はそのためのものですが、センターではこれから勉強するという方についても、勉強方法などについて相談を受けますので、いつでもお問い合わせ下さい。
司法試験や予備試験の合格に向けての勉強はかなりタイトなもので、レベルにあった学修が必要です。センターでは、そうした方を含めて、できる限り幅広く対応したいと思っています。
ネット上にある、文部科学省の資料なども公表されていますが、鹿児島大学の法文学部法経社会学科法学コースでは、この制度を早ければ今年の4月に取り入れる方向で準備が進められています。
通称「法曹コース」と言いますが、正式には「連携法曹基礎課程」と言います。これは早期卒業制度で学部を3年で卒業した後、法科大学院を2年で修了する既修者コースに進学できるという制度です。学部を早期卒業するためには、基準の成績を満たしたうえで、卒業単位を取得することが必要です。これを満たせば、協定を結んだ大学院に一般入試とは異なる特別
また、法科大学院に進学するよりずっと厳しい道になりますが、予備試験の合格を経て司法試験を受験するという道もあります。社会人の方や家庭の事情で鹿児島を離れられないという方もいると思います。この方法だと、司法試験合格までずっと鹿児島で勉強するという形もあり得ます。法務学修生制度では、予備試験経由で司法試験をと言う方も、上記の条件を満たせば、法務学修生になっていただいて支援をうけることが可能です。
【法曹にとって必要なこととは】
現在社会は、地域、性別、社会経験などの社会的背景の違いがある人たちがいて、それぞれの人たちが急激に変化する社会の中を生きていています。こうした社会の様々な場面の多様性に対応するためには、工場のラインのような同じ社会経験を積んだ人だけが法曹になるのではなく、様々な分野で社会経験を積んだ人や、それぞれの場面について専門的な知識を持った人が必要となるでしょう。
社会には多様な人がいて、それぞれ抱えている問題や事情は違うから法曹にも多様性が求められるわけです。だから、難しい試験に合格しただけの勉強だけができる人では、社会のニーズに応えることは出来ません。
本村さんは、例えばどんな人が弁護士として必要だと思いますか?
相談した時に、問題に対する法律の知識を紹介されたって、どうしていいかわからないし、納得できないですよね。困った時に頼りたくなるのは、自分に近い人、自分をわかってくれる人だと思います。
全てを理解する事は難しくても、相手を理解しようと近づくことはできます。そうしたことを踏まえてアドバイスや提案をしてくれる人の言葉は、説得力もあるでしょうし、実行に移しやすいですよね。そうした意味で、それぞれの分野でプロフェッショナルが必要だといえます。現代社会はいろいろな場面でそれぞれに専門性が確立していて、法律を適用する対象となる世界の理解があると、法律家としてのいい仕事にはそれが必要です。法律の知識が豊富であるというだけではなくて、それぞれ働く地域や事情について詳しい人がいてくれるとありがたいですよね。
ですから多様な人や多様な事情に対応するためには、法曹にも多様な人が必要なのです。そうした意味でも、鹿児島という社会事情の下で勉強した法曹がいた方がいいし必要なわけです。鹿児島大学では、法科大学院がなくなったけれども、鹿児島で法曹を目指す道筋やチャンスを確保して、それを目指す人を支援するということを、地域の大学の役割だと考えているのです
【司法教育研究センターの取り組み】
法科大学院や予備校のない鹿児島に住んでいたとしても、法曹に向けて勉強する場所がないから、法曹になることを諦めるのではなく、法曹になるという夢を叶えるための方法を探す!
楽しみながら、夢を達成する手段を探して、チャレンジして欲しいです!
法務学修生制度や司法政策教育研究センターについて興味を持たれた方は、ぜひ下のリンクを覗いてみてください。
今回の記事執筆にあたって、米田先生をはじめ、鹿児島大学法文学部の中島先生や前回インタビューさせて頂いた川畑さんからお力添えいただいたおかげで記事を作成することができました。ありがとうございました。
改めて、インタビューのご協力ありがとうございました。
司法政策教育研究センター