「それでも世界が繋がることを諦めない。」

同じ願いを持つ若者が集まり、企画から開発まですべてを行う史上初の宇宙プロジェクト、

Earth Light Project (以下ELP)

スペースバルーンという技術を使って炎を打ち上げ、成層圏から見える炎越しの地球を撮影・配信するという超壮大な挑戦に、今、総勢140人の若者が奮闘しています。(打ち上げは2021年5月上旬予定)

コロナという逆風の中、全国各地の学生が力を集結し、クラウドファンディングでの資金調達から技術開発、数多くの地上実験、そして実際の打ち上げまですべてを行う夢にあふれた大プロジェクトです。

今回KADAI INFOは、ELP代表 都築則彦さんにインタビューを行い、プロジェクトに込める思いを伺いました。

プロフィール

お名前:都築則彦(つづきのりひこ)

出身地:千葉県

経歴:千葉大学大学院生。2014年に学生団体「おりがみ」を設立し、オリンピック・パラリンピックに関連する数多くのイベントを企画運営。また、全国学生ボランティアフォーラム代表としても活躍。

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———なぜこのプロジェクトをやろうと思ったのですか?

都築さん
1つの炎があって、その後ろに1つの地球がある。そういう画を世界中のみんなで、ともに生きていくっていう世界を願いながら見ることができたら、バラバラになった世界がもう一度1つになるんじゃないかなって思ったんです。
 着想はオリンピックの聖火リレーにあります。聖火リレーは元々、世界平和を願って世界中を回っていたのですが、チベット民族の暴動の問題があって、現在では国内でしか回れなくなったという歴史があるんです。そういった世界の分断がある中で、「ともに生きていくこと」の素晴らしさを世界中に届けていきたいなって思ったんです。最近は、コロナウイルスの影響でこの分断の問題はますます大きくなっていて、プロジェクトにかける思いも一層強くなりました。
———例年とは違う状況で、苦労する点もあるのでは?

都築さん
やはり、人と会って直接お話するのが難しい状況ですので、プレゼンテーションの機会はかなり失っている気がしますね。でも逆に、オンライン上だからこそのメリットも多いんです。

コロナの影響で、なかなか人と会うことができないというのはあるんですけど、一方で、距離が関係なくなったというのは大きいです。そのおかげで、全国各地からいろんな学生が集まってくれて。共感してくれる人を広く探しに行けるようになったというのは、嬉しいところでもありますね。

 

———どういったメンバーが参加しているのですか?

国内外から、約140人のメンバーが集まってくれました。今年で3年目になるプロジェクトなので、すでに社会人になっている人もいますが、基本的に、10代・20代の若者が参加しています。

 

出典:CAMPFIRE

———具体的にメンバー集めはどのように?

都築さん
最初は、必要な人を集めるために知り合いのつてを辿っていったんです。次第に、噂が広がって全国からぽつぽつと人が集まってくれたという感じです。

今回のプロジェクトでは、スペースバルーンの技術に詳しい名古屋大学NAFTという開発チームにアポを取ったり、クラウドファンディングで実績を持つ北海道の方に連絡をしてみたり。また、打ち上げ場所が沖縄の宮古島なので、沖縄でゴミ拾い活動をされている団体とも繋がりました。そのうち、いつの間にか噂が広まって多くの学生が集まってきました。

———本当にいろんな若者が参加しているのですね。

都築さん
そうですね。これは未だかつてない規模の学生の連携になると思っています。その過程の中で、絶対に繋がることのなかった若者が1つになって、みんなが良い未来を考えることって、未来にとってすごい価値があるなって。
 このご時世、いろんなイベントが規模を縮小していて、その分エネルギーが余るじゃないですか。でもこれって、逆に規模拡大のチャンスでもあると思っていて。「オンラインだから規模縮小する」って、実は全然必然性はないんです。だから、ELPに限らず、こういうコミュニティに入ることで、なにか大きなものに繋がることってあると思うんですよね。
———来年5月の打ち上げまでには、どのようなことを行うのですか?

都築さん
今年の7月から9月にかけてクラウドファンディングを実施し、その結果を受けて11月から地上実験を開始していきます!
 1月には、日本大学の研究所をお借りして、大きな真空チャンバーの中で実際の宇宙を再現するという、プロジェクト最大の実験を予定しています。そういった実験を何度も重ねた後、2月からいよいよ機体製作スタート。5月上旬の打ち上げに向け、本当にその機体で大丈夫なのか慎重なチェックを重ねます。
 また、学生同士で、社会問題についてのディスカッションも行っています。今回、「分断」というものが第一のテーマなので、今世界で何が起きているのかを議論して、そういった問題意識も込めた打ち上げにしたいです。
———このプロジェクトの最終的な目標は?

都築さん
炎越しの地球の映像を、世界中の多くの人に見てもらうことがまずは一つのゴールですね。それと関連して、SNSを通じて世界中の想いを集めるムーブメントも今考えています。
 また、成層圏に打ち上げる機体の中に、コスモスの種を入れてみたいなと思っていて。コロナという逆風の中でも、ともに生きることを諦めなかった若者たちの願いをそのコスモスの種に込めて、それが花となり映像に残ったら素敵ですよね。

出典:CAMPFIRE
———とても夢のある企画でワクワクします!

都築さん
それはよかった!
これからもっともっといろんな学生が集まってくれれば嬉しいなと思います。
 私は、技術ができるわけでもないし、英会話が特別できるわけでもないんです。できることは、諦めないで熱意を伝えていくことくらい。でも、それでもリーダーなんです。だから、いろんな学生がいていいし、これを機に大きな一歩を踏み出す学生がいたらいいなと、そんなプロジェクトにしていきたいです!
———でもやはり、一歩踏み出すのって勇気がいりますよね。

都築さん
たしかに勇気は必要ですよね。でも、始まりは単純に「面白そう!やってみよう!」でいいんですよ。
 トライアンドエラーを繰り返すことで、何に触れた時に自分の感動が揺れるかを知ることができますよね。だから、ちょっとでも心が揺れたなら、失敗を恐れずとりあえず飛び込んでみる、そのあとで何か違うなと思ったらやめてみるというのは、すごく大事なことだと思っています。ELPもその飛び込み先の一つです!
———鹿大生の中にも、興味がある学生がいるかもしれません!

都築さん
それは嬉しいですね!私たちも、一緒に熱中できる仲間を探しているので、いつでも大歓迎です!
 実はまだ、鹿児島からの参加者はいないんですよ…。距離も関係ないですし、少しでも興味を持ってくださった方がいれば、今からでもぜひ気軽に声を掛けてください!

 これを機に、熱量をもって必死になれる仲間が増えていって、若者の力で社会を良くしていこう!というような、そんなムーブメントが日本中世界中で起こればいいなと願っています。

(2020年8月15日インタビュー)

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