鹿児島大学のユニークな先生を紹介していく学部INFOのコーナー。
第三弾は教育学部でデザインを専門とされている和田七洋(わだななひろ)先生をインタビューしました。
生物学部時代に培った理系の頭でデザインを捉えらえられている先生にデザインと日本の教育について語っていただきました!

代表
先生の経歴を教えてください!

和田先生
僕はねちょっと変わっていて、理系の生物学部から美術のデザインの学部に変わったり、留学したりとかあって、大学出たのがすごく遅くて25・26才ぐらいだったのね。
それから2,3年ぐらい東京でいわゆるデザイナーみたいな仕事をして。

 

そのときに、プロダクションとかで作ってるものってすごくつまんなかったわけね。
自由なこともできないし。クライアントの言うことも聞かないといけないわけだし。

代表
そうなんですね。僕は、デザインというものは何を表現したいかがすでにあってそれをどうわかりやすく伝えるかだと思ってしまっていて、
つまりは、自分を出しすぎないものかなって思っていたんですけど和田先生は違うんですね。

和田先生
デザインってのは、人にもよるし、仕事にもよって、違ってくるから、一概には言えない部分が多いんだよね。

 

でも9割くらいのデザイナーさんはあまり自分をださないよね。

 

和田先生
僕はね、それが嫌だったんだよね。

 

このまま消費される、消耗されるのが怖かったし、まあ裏方の仕事するのが少し苦手だったのかな。
だけど一番はなんか自分が思ういいもの、自分が思うクリエイティブなものを作りたいっていうのがあったんだよね。

代表
先生がデザインをはじめたきっかけについて教えてください

和田先生
僕は最初生物学部にいたから考え方が理系っぽくて、美術はやってて好きだったんだけど、「答えがない」って思ってしまって。

 

例えば、写真みたいに見たままにかいて評価はされるんだけど、全く写真みたいに書かなくても評価されるみたいな、答えがなくて納得できなかったというか。

 

和田先生
だからそんな時にグラフィックデザインの授業をたまたま受けて、当時僕は『グラフィックデザインは答えがある』ってかんじたのね。
「答えが論理的に説明できる、美術でもこんな、素晴らしい分野があるんだ」って。

 

今思うとそれは、そんなに正しくなくて。もう少し突き詰めていくと、それだけで説明できない、いわゆる美術っぽいところもでてくるし、そういうのがないと深みに欠けてしまう。その辺のジレンマはまだもってるけど、当時の僕にはしっくりきたんだよね。

代表
なるほど...

デザインと美術の違いとは?

代表
デザインと美術の違いはなんですか?

和田先生
トンネルに例えると、美術のトンネルって曲がりくねってるわけ。デザインのトンネルは比較的真っ直ぐなわけね。美術のトンネルはというとそれが長いのか短いのか、自分が今どこにいてどこまで続くのか見えないわけ。でも、デザインのトンネルは距離自体は長かったり短かったり。けど常に光は見えてることが多い。

代表
では、先生にとってデザインとはなんですか?

和田先生
あんまり僕にとってデザインとはっていうのは、興味はない。でも好きなことやろうって思ったのがたまたまデザインだったの。

その時たまたま面白いと思ったのがデザインだったの。好きなこと、興味があることを正直やってるだけだから。

代表
先生が考える教育の部分についてもお話を聞きたいです。

和田先生
日本人の気質としてさ、問題発見型ではなくて問題解決型の人が多いんだよね。

大学生でも、レポートのテーマを決めてあげれば書けるけど、レポートのテーマを考えてってなると固まってしまうという人が多い。塗り絵はぬれるけど、真っ白な紙には何も描けないという感じ。
学校の教育で問題発見型のようなクリエイティブな感覚を育む教育があるとすれば、一番その可能性として高いのは美術だと思うのね。でも、日本の美術教育は情操教育に比重が置かれているんだよね。どう感じるとかさ、言葉にできないものを表すとか、心を豊かにするとかって。それは素晴らしい美術のあり方の一面だけど、もっと果敢に攻める、クリエイティブになりましょうとか、コミュニケーションをとりましょうとかの側面が弱い気がする

代表
なるほど

和田先生
それで監修という形でDuckPond International Schoolっていう学校に関わっているのね。

DuckPond International Schoolについて

ここは小学校の1、2年生と幼稚園生が英語を使って美術も含めたさまざまな教科を勉強するっていう学校なんだよね。この学校で従来の美術教育とは少し異なる、クリエイティヴな感性を育てたり、他の教科の学習と強く結びつけたりするのを中心とする美術教育を実践しているんだ。

もともとそういう美術教育をしたかったという思いと、最近感じ始めていた鹿児島の国際化のためにはインターナショナルスクールという選択肢必要だなという思いがあって、もしかしたら同時に解決できるのかも知れないと考えて発起人となったんだよね。

和田先生
僕が美術だけじゃなくて、英語にこだわるのは、日本の受験システムが肌に合っていればいいけどさ、おそらくそうじゃない子たちもいるよね。
そんな子達がもしインターナショナルスクールに通っていたならば進学できる大学世界中にあるわけじゃない?その中にはきっと子どもたちにあった大学が沢山あると思うんだよね。

英語が話せれば多くの子どもがもっと自分にあった場所をさがせるんじゃないかと思って。鹿児島にはそういう場所がなかったから必要だと思ったんだよね。

あとは全国の国立大学の教育学部には教育に関する膨大な知識や経験を持っている先生方が沢山いるんだよね。もちろん鹿児島大学もだけど。

そういう知識をもっと社会に還元すべきなのに、なんとなく大学教員が外で仕事をするのは良くないみないなイメージがあって。ちゃんと兼業許可をとっていれば全然問題ないはずなのに。

DuckPond では多くの授業が教育学部の先生方に監修してもらっていて、それを前面に押し出しているんだよね。

ダックポンドが上手くいったらもしかしたら他の大学でも「あ、それやっていいんだ」ってなって、

大学教員が積極的に外にでるようになれるんじゃないかと思って。それは教員にとっても地域にとっても有益な話だと思うんだよねそういうムーブメントが起これば地方はもっと元気になると思うんだ。

和田先生
ダックポンドにはその先駆けになる可能性のある仕事だと思っているよ。
デザインの分野を飛び出し、日本の教育にも目を向けられている和田先生。
そのお話からも個性が溢れる非常にスタイリッシュな先生でした!
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