鹿児島大学には、9つの学部があり、学部生・大学院生合わせて約1万人の学生が、日々学んでいます。
そしてその中には、自分の「知りたいこと」「興味のあること」をより専門的に、熱心に研究している学生がいます。
KADAI INFOは、そのような鹿大生を代表して9人にインタビューを行い、各学部の学部生・院生がどのような研究をしているのか取材させていただきました。
第二弾のこちらの記事では、
農林水産学研究科修士2年 中村桐子さん、
歯学部歯学科卒業生 前田曜さん、
水産学部水産学科4年 藤田恭平さん
のインタビューをご紹介します。
タンカン摘果果実の飼料添加が肉用鶏の飼養成績ならびに肉質特性に及ぼす影響
●農林水産学研究科修士2年 中村桐子さん
Q.研究の概要を教えてください
鹿児島県で発生する未利用資源の飼料化と畜産廃棄物の再生利用法を検討しています。鹿児島県が生産量1位であるタンカンの摘果果実の飼料添加が肉用鶏の飼養成績ならびに肉質特性を高めることが分かりました。
Q.なぜその研究を?
タンカン栽培の現場では、大玉果を生産するため、夏期に100~120葉に1果の割合となるように摘果・廃棄されているのですが、摘果されたタンカンの再利用方法は検討されていません。そこで、その再利用方法を検討するため、タンカン摘果果実の飼料添加が肉用鶏に及ぼす影響を調べることにしました。
Q.研究の面白さ・役に立つ点は?
タンカン摘果果実の飼料添加が、鶏むね肉の赤色度を増加させたところです。精肉の赤色度が高いと、消費者の購買意欲が高まると報告されています。同時に、肉質特性を高めることもわかり、摘果されたタンカンが飼料資材として有効利用できることが明らかになりました。これは、農業生産現場における廃棄物問題の解決に貢献できると考えています。
Q.具体的にはどんな事をしているのですか?
肉用鶏の肉の成分分析を行っています。また、飼育棟で鶏を飼っているのですが、給与する飼料以外は同じ条件にしなければいけないので、餌と水の補充、糞の処理、体重測定など、飼養管理にはとても気を配っています。
Q.今後の課題は?
現在は、乾燥させたタンカンを、トウモロコシと大豆粕をもとに作った基礎飼料に混ぜて与えているのですが、その際の乾燥コストが問題点であると考えています。また、肉用鶏でお肉の色を変えたように、卵用鶏の場合は、卵の黄身の色が変わる可能性があるので、それについても今後の研究で視野に入れていきたいと考えています。
Q.行き詰ったときのリフレッシュ方法は?
ダンスをします!勉強中は洋楽やK-POPを聴くことが多いです。
手鏡による小児歯科治療中の影響
●歯学部歯学科令和2年度卒業生 前田曜さん
Q.研究の概要を教えてください
子供に手鏡を持たせて口の中をいつでも見ることができる状態にして歯科治療を受診させると、手鏡を持っていない子供に比べ、頭と体の動きが明らかに減少するということをランダム化比較試験という手法を用いて明らかにしました。
Q.研究の面白さ・役に立つ点は?
人々が歯科診療を避ける原因の一つとして、幼い頃に経験した“イやな歯科診療”が考えられます。私たちの研究結果から、子供たちが落ち着いて歯科診療を受けきることができるようになったり、歯科医師や医療従事者が子供に対してスムーズに治療を提供できるようになったりするという可能性が示されました。
Q.大変だったことは?
参考文献や論文の読み方、データの統計処理、科学的な思考方法など、初めてのことばかりでなかなか理解できないことも多かったです。何回も根気強く指導していただいたおかげで、なんとか最後までこぎつけることができました。
Q.頑張ったことは?
研究成果を発表する機会を多く持つように心がけました。コロナウイルスで中止になってしまいましたが、世界最大規模の歯科学会である国際歯科研究学会でポスター発表の機会を得られたことは本当に嬉しかったです!
Q.今後の目標は?
歯学部は6年間で、卒業後は臨床研修への参加が一般的です。私は、春から日本大学の歯学部で研修させていただきます。そして将来は、歯科医師として海外で活動したいと考えています。
鹿児島県甑島にある貝池および海鼠池に生息する光合成細菌群の特徴
●水産学部水産学科4年 藤田恭平さん
Q.研究の概要を教えてください
プランクトンの分布が特徴的である鹿児島県甑島にある貝池の水質やプランクトンを調査します。貝池は、バルト海沿岸の湖と貝池のみでしか確認されていないという30億年前の微生物クロマチウムが生息し、幾重にも層が作られているという学術的にも非常に珍しい湖です。
Q.研究の面白いところは?
今まで調査があまり行われていない分野なので、未知の領域を開拓しているような感覚でとても楽しいです!
Q.具体的にはどんなことを?
現地での水質調査やデータの分析を行っています。現地には、1秒おきに水質データを取ることができるCTDという装置を持っていき、それぞれの水深の数値を図ります。また、その際に採水器で採取した水は、研究室に持ち帰って分析します。調査の方法は、研究室に入って初めて教わるケースが多いですが、研究室の乗船調査に同行して教わることもできます。
↑水質調査で使用する「多項目水質計(CTD)」
↑海水の成分を分析する「流路型自動化学分析装置(オートアナライザー)」
Q.大変だったことは?
海水を採水したりする以上、どうしても船に乗らないといけないので、船酔いしやすい体質の自分にとって、その点は苦労する部分かもしれないですね。
Q.行き詰ったときのリフレッシュ方法は?
ビリヤードをしたり、睡眠をとったり、美味しいものを食べたりしています!
(2021年3月取材)
取材にご協力くださった、中村さん、前田さん、藤田さんありがとうございました!
第三弾の研究紹介記事は、4月27日公開予定!
医学部医学科6年 鮫島芳宗さん、教育学部卒業生 久保真依さん、情報生体プログラム1年 村上将太朗さんのインタビューをご紹介します!
第一弾の記事はこちらから↓
★また、4月発行のKADAI INFO第4弾フリーペーパーでは、今回取材した9人の研究紹介をぎゅぎゅっとまとめて掲載中!4月20日頃から鹿児島大学学習交流プラザ内に設置予定ですので、ぜひそちらもチェックしてみてください!